
こんにちは。たかちほ正史発酵蔵の三代目、竹之下正史です。
今日は、どんな風に納豆をつくっているのかを、ふわっと話させてください。
何か難しいことではなくて、
「なんとなく、こんな感じなんだな」
って、感じていただけたらうれしいです。
「今日の納豆、いつもと味が違う?」って思ったことありませんか?
毎日納豆を食べてると、なんとなく気づいてくると思います。
「あれ?今日の納豆、なんか違うな」
って。
これ、気のせいじゃないかもしれません。
悪い意味じゃないんです。
むしろ、毎日食べているからこそ分かってくる。
だから「お、今日は当たりだな」
みたいな日もある(笑)
香りがいつもよりふわっと立ってたり、豆の甘みが「あれ、今日ちょっといいな」と感じたり。
逆に、
「今日はちょっと若いかな」
と思う日もある。
納豆って、毎日同じように見えて、実は毎日ちょっと違うんです。
「それって、味がブレてるってこと?」
たぶん、ここで思う人もいると思います。
「それって、品質が安定してないってこと?」
って。
納豆をつくる側からすると、毎回まったく同じにすることだけが品質を安定させることじゃないんです。
その日の豆の状態を見て、
水の入り方を見て、
発酵の進み具合を見て、
ちゃんと、その日のおいしいところへ持っていく。
こっちのほうが大事だったりします。
大豆って、部品みたいに、毎回まったく同じ状態じゃないんですよね。
大豆をつかう時期によっても違うし、同じ豆でも、その時々の状態は少しずつ変わってくる。
気温が違えば、大豆を仕込むときの水温も変わってくるし、それに合わせて
蒸煮も変わる。
そして、納豆菌は生きています。
だから、発酵も「昨日と同じようにしておけば、今日もまったく同じ」というものでもないんです。
もちろん、だからといって適当に作っているわけじゃありません(笑)
むしろ、その逆。
変化するから、ちゃんと見る。
ここが、毎日の納豆づくりで僕が大事にしているところです。
「同じにする」より、「今日のおいしい」を見る
うちの納豆は、完熟発酵で、混ぜる前から味が立つように仕上げています。
だからこそ、発酵の状態はすごく大事。
豆の変化や香りを確かめながら、
「もう少しだな」
「ここだな」
と、完熟のタイミングを見極めていく。
そうやって毎日見ていくと、
「あ、今日はめっちゃ仕上がってるな」
とか、
「今日はちょっと若いかな」
とか分かる。
そのために、納豆を混ぜずに2〜3粒、そのまま食べる。
たった数粒なんですけど、その数粒がけっこう正直なんですよね。
僕らがやっているのは、
「昨日と同じ味にしよう」
というより、
その日の豆、その日の発酵の状態を見ながら、ちゃんとおいしいところに仕上げる。
そういう仕事なんだと思っています。
家として三代、納豆をつくってきましたが、昔からずっと、豆・水・発酵の変化を見ながら積み重ねてきたものがあります。
創業者が「美味しい納豆は水で決まる」と考えて、霧島山系の名水が沸くこの地で地下水を掘り当てたことも、その礎のひとつです。
その上で、いまの僕らは、いまの豆、いまの環境に合わせて、さらに精度を上げていく。
変えるべきところは変える。
守るべきところは守る。
それを毎日やっています。
だから、「今日の納豆、少し違う?」を楽しんでほしい
たぶん、納豆って「いつ食べても同じ味」というイメージが強いと思うんです。
もちろん、安定したいつもの味は大事です。
でも、自然のものを使って、発酵という変化のある工程を通っている以上、毎日まったく同じ顔になるわけじゃない。
僕は、そこも納豆のおもしろさだと思っています。
今日の豆は、どんな感じかな。
香りはどうかな。
ひと粒目を噛んだとき、今日はどんな味がするかな。
そんなふうに食べてみると、いつもの納豆が、ほんの少し違って見えるかもしれません。
「今日の納豆、なんか違うな」
そう思ったら、
「悪くなったのかな?」
とすぐに決めつけなくてもいい。
「あ、今日はこういう日なんだな」
くらいでいいんです。
そして、もしそこで、
「今日、めっちゃうまいな」
となったら。
その日は、ちょっと得した気分でいいと思う(笑)
僕ら作り手にとっては、その小さな「違い」を見逃さないこと。
そして、その日の納豆を、その日のいちばんおいしいところへ持っていくこと。
毎日同じものをつくるというより、
毎日ちゃんと納豆を見る。
僕は、そんな仕事をしているんだと思っています。
もし今日、納豆を食べることがあったら。
最初の数粒だけ、何もかけずに食べてみてください。
「今日の納豆、なんか違うな」
もしそんな日があったら、
ちょっとだけ、その違いを楽しんでみてください。
僕は、そういう小さな違いに気づいてもらえたら、ちょっと嬉しいです。


























Share: